むかし、あるところに貧しいお百姓さんがいました。
貧しいけれどお百姓さんには、美しい娘がありました。また、立派な白い馬も飼っていました。
娘と馬はとても仲良しでした。一緒に野原を駆け回り、お話もしました。娘と馬は幸せでした。
とうとう娘と馬は夫婦になりました。
ある晩のこと、お百姓さんはこれを知って、大変怒りました。 次の日、娘に知られないように馬を古い大きな桑の木につるして、殺してしまいました。
その夜、娘は馬のいないことを知り、捜し回りました。
疲れ切った娘が見つけたのは、桑の木に吊り下げられて、変わり果てた姿の馬でした。悲しくて涙がいっぱい流れました。いつまでも死んだ馬にすがりついて馬から離れませんでした。
もっと怒ったお百姓さんは、斧で馬の首を切り落としてしまいました。
すると、馬はすがりついていた娘を乗せたまま天に昇って、見えなくなりました。お百姓さんも悲しくなって泣きました。毎日泣きました。
ある朝、馬を吊るした桑の木の根元に、白い二つのまゆを見つけました。
天に昇った馬と娘が姿を変えてここにいるのだろうと思いました。
この白いまゆが、美しい糸を作り、お百姓さんを幸せにしました。
それから、お百姓さんは、娘と馬の代わりに人形を作り、神様として祀りました。こうしてオシラサマと呼ばれるようになりました。
【真実】
かつて遠野では馬は生活の糧となる仕事のパートナーで、大切に育てられていました。
その一方、貧しい農家の次男や三男は裕福な家の使用人として住み込み、残り物の食事で食いつないだとい言います。
オシラサマの話は、裕福な家の娘と貧しい農家出の下男という身分違いの二人が惹かれあった話??
~現世では結ばれなかった悲哀を感じさせる~
「カッパおじさん」こと運萬治男さん曰く